舌下免疫療法治療薬に関する重要なお知らせ
今年は花粉の飛散量が多く、舌下免疫療法新規開始の需要が全国的に増加しています。これにより薬剤の出荷制限がかかっており開始できる人数に限りがあります。
ご予約いただいた方から順番に薬剤の在庫状況に合わせてお電話で治療開始の連絡を致しますので、舌下免疫療法を新規開始されたい方はコチラからご登録をお願い致します。
舌下免疫療法とは
舌下免疫療法とは2014年頃から始まったスギもしくはダニ(ハウスダスト)のアレルギーを持つ患者さんのための減感作療法のひとつです。 減感作療法とは、アレルギーの原因となる物質を少しずつ投与して、身体に慣れさせる治療法です。投与する薬の量は、治療開始時は低濃度ですが、時間の経過と共に徐々に高濃度の薬に移行していきます。
舌下免疫療法はアレルギーによる症状が出てからの軽減を目的とした治療法ではなく、根本的に症状を出なくするためにアレルギーに反応しない身体にするための治療法です。 そのため舌下免疫療法は主にアレルギーによる鼻水・鼻づまり・くしゃみなどの症状にお困りの方、もしくは既に点鼻薬や薬を服用しているが症状が軽減されない方におすすめしたい治療法となります。
舌下免疫療法の特徴
- 一日一錠を服用します。服用する際は口に含み1分ほど待ち、溶けだしてから飲み込みます。
- 舌下免疫療法は長期間継続して実施をする必要があります。スギかダニどちらの舌下免疫療法を始めるかによっても多少違いますが、約2~5年は薬を毎日欠かさずに服用する必要があります。服用期間が年単位で長く感じるかもしれませんが、毎日のお風呂や髪をセットするように薬を飲むことを習慣化してしまえばそこまで気にすることはありません。
- 舌下免疫療法を始めてから初めの1か月は毎週経過観察のため来院していただく必要がありますが、体調が安定してくれば医院に来院してもらう頻度は1か月に1回程度になります。
- 服用していただく薬自体には強い苦みやにおいなどはありませんので、ご安心ください。
- 舌下免疫療法は初回投与は院内で行いますが、その後は基本的に自宅で1人でも行える治療法です。
- スギとダニの両方の舌下免疫療法を始めたい場合は開始時期をずらすことによって両方を並行して行うことができます。
- 舌下免疫療法は副作用の可能性があります。
舌下免疫療法は身体に反応のあるアレルギーを体内に取り込むため、少なからず以下のような副作用による症状が発生するおそれがあります。
発生するおそれのある副作用
じんましん 腹痛や下痢 嘔吐 身体の痒み 喉の痛み 鼻水や鼻づまりといった鼻症状
舌下免疫療法の種類と流れ
スギアレルギー改善の場合
初診時
問診とアレルギー検査を実施して、スギアレルギーを持っているかどうか確かめます。 (当院のアレルギー検査のページはこちらです)
再診時
血液検査の結果が分かり、スギアレルギーに反応があった場合は舌下免疫療法を開始します。 初めの投与は副作用(アナフィラキシーショック)の可能性があるため、院内にて行います。 薬を投与してから身体に異常が発生しないか確認するため、最低でも30分は院内にて待機していただきます。 初回の投与から一週間は比較的濃度の低い2000JAU錠を服用します。
初回投与から一週間後
一週間続けて薬を服用して体に異常が出なければ、2週目以降は濃度が高めの5000JAU錠を服用してもらいます。 〈薬を投与後の飲酒や喫煙、激しい運動は危険ですので、お控えください〉
ダニアレルギー改善の場合
初診時
問診とアレルギー検査を実施し、ダニアレルギーをお持ちかどうか確認します。
再診時
ダニアレルギーをお持ちだと判明した場合、舌下免疫療法を開始します。 スギアレルギーの治療薬と同様に初回の薬の投与は院内にて行い、身体に異常が出ないかを確認します。 初回投与から初めの1週間は濃度は低めの3300JAU錠を服用します。
初回投与から1週間後
1週間経過して、身体に異常がでなければ、2週目以降は濃度が高めの10000JAU錠を服用していただきます。
治療を受けられない方
- 5歳未満の幼児または65歳以上のご高齢の方
- 喘息などの気管支炎系の疾患をお持ちの方
- 癌治療中の方
- 妊娠中の方
- ほかに服用中の薬のある方(薬の種類によっては舌下免疫療法を開始できますので、お気軽にご相談ください)
こんな時はどうすればよいの?
お腹が空いているから、服用後すぐにご飯を食べる。
→×:服用直後の飲食はできません。服用してから5分間は安静にし、その後の飲食なら問題ありません。
口の中に傷ができてしまったけど、毎日薬を飲まなければならない。
→×:口内炎など口の中に傷があると舌下液が直接傷口から入るので、傷が完治するまでは服用を中止していただいて大丈夫です。
風邪で体調が悪いけど、薬を飲む。
→×:体調が悪い時にアレルゲンを含んだ薬を服用すると、かえって副作用がでやすいため、体調が悪い時は服用を中止してください。
舌下免疫療法をご希望の患者様はまずは診察時にお気軽にご相談ください。
おおとり渡邉耳鼻咽喉科 院長 渡邉 寛康